アヴァンギャルド・アウトテイクス

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#11/「かおりちゃん絶許」に学ぶー水橋かおりの愛され力

水橋かおり、という女性声優がいる。

今期では「魔法少女リリカルなのはViVid」の高町ヴィヴィオ、「グリサイア」シリーズの松嶋みちるに声を当てているが、代表作は何と言っても「ひだまりスケッチ」の宮子である。マミる人も代表作かもしれないが水橋かおりの良さ(人間性含む)を如実に表現できているのは宮子であり、水橋かおりだからこそ宮子が完成されたのだと私は断言する。

と、ここまで書いてアニメに興味を持っている人ならば水橋かおりの声を想像するには難くない。本題はここからであるハラダチャ-ン。



水橋かおりにはインターネット上にアンチが沢山いる。匿名掲示板ではアンチスレも存在し(しかし元来のアンチの定義が存在しないのだ。理由は後述)賑わいを見せている。その賑わい方が非常にアレである。
基本「アンチスレ」と呼ばれる場所には該当する人物や作品に対して厳しい言葉が並ぶ。声優ヲタは情報を集めて発言や行動、本人の素行について事細かく揚げ足取り(とここでは表現しておく。勿論例外はある)をしては笑っているアンダーグラウンドだ。
その世界で水橋かおりは、まるで女神であったり、妹であったり、娘であったりとアンチの心を掴んで離さない。どこかのまとめでは「日本一平和なアンチスレ」と表現されている。さてどういうことだろう。

水橋かおりのアンチが行う活動
・本人を顔文字( ´_J`)や、Jと表す(水橋かおりは鼻に特徴がある)。
・何かしら日常生活で嬉しいこと悲しいことがあると
 「かおりちゃん絶許」と語尾に付け報告する(大抵どうでもいい話題)。
・年々若返る水橋かおりに釘付けでも「かおりちゃん絶許」。
・おっぱいネタ厳禁(水橋かおりは幼児体型ではなく華奢なのである)。

絶許とは「絶対許さない」の略だと言われているが、このアンチスレでは「絶対許す」と読めてしまうのが恐ろしいところだ。アンチという名の「水橋かおりファン」である矛盾を抱えながら(これも気にしてはいけない)ほとんど親心で見守っている。しかし結婚の心配までするのは「まつらいさん」だけでいいと私は思う。まつらいさんについては機会があれば書く。


何故彼女がここまで愛されているのかを考えたい。
最近の声優は宣伝も兼ねてSNSなどで随時情報を発信している。それゆえ時に不用意な言葉で「炎上」が起きたりしてしまう。これは一般人にも言えることであろう。本人のTwitterやブログは勿論、バイラルメディアの発達による情報拡散の速さなど、ファンは必要なときに必要なだけ情報を得られる(不必要な情報も入ってくるデメリットも存在するが、ここでは言及しない)。

しかし、水橋かおりは別である。
本人名義のブログは存在している。存在はしているのだが


ブログを2年更新しないことがある。


彼女に毎日更新を求めてはならない。不必要どころか必要な情報すら発信されないのだ。勿論これは水橋かおりのツンツン疑惑(ツンデレのツンを二乗してみるとわかりやすいだろうか)に起因しているのかもしれないが、よくて3日おき、その後数ヶ月の放置は当たり前となっている。水橋かおりアンチはメディアや雑誌の情報を必死に探し翻弄されながらも、彼女が出演する番組やイベントを発掘し応援するのである。
相変わらずブログ更新が2014年12月で止まったままのかおりちゃん絶許。



昔のアイドルはスキャンダルがあれば週刊誌にスッパ抜かれ大騒ぎになった。それは本人から情報発信するツールがなかったことも理由として挙げられるはずだ。そして平成、インターネットの急速な普及により比較的簡単に情報を手に入れられるようになった我々アンチにとって水橋かおりはスキャンダル皆無、発言にも問題がない「昔のアイドル」なのかもしれない(記者が追いかける必要性もないので余計である)。

水橋かおり、彼女が愛される理由は「自分の話を積極的にSNSなどで発信しない」ことであり、今どきの若者では少々難しいSNSなどを使わない「沈黙」という努力が愛され力へ繋がるのかもしれない。本人はおそらくそんなことは1ミリも考えず面倒くさがっているだけだというのもアンチは知っている。
――そんなことを考えながら、水橋かおりの情報を探している超絶アンチがここにいる。夜更かしさせるかおりちゃん絶許。

追記:決して水橋かおりの前で「かおりちゃん」と呼んではいけない。読者の皆様には「ミズハス」をお勧めしておく。

河原奈慧

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